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2007年09月14日
災害時、あなたはわが子を守れますか? ~ 能登半島・新潟県中越沖地震で見たものとは ~
新潟県中越沖地震が発生した直後にもこちらにメッセージを寄せてくださった
NPO法人アナイスの池田さんが、能登半島、そして新潟県中越沖地震の
どうぶつ救済についての報告をしてくださいました。
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平成19年、3月の能登半島沖を震源とする地震、7月には新潟県中越沖を震源とする地震と、
大きな震災が続けざまに日本を襲いました。
平成19年の8月の1ヶ月だけでも、北海道から沖縄まで日本で起こった震度3以上の地震
は合計28回にも及びます。
また、災害というと地震を思い浮かべてしまいがちですが、実際には台風や大雨による被害も
けして小さいものではありません。
みなさんがお住まいの地域にある化学工場や原子力発電所の事故により、薬品流出や、放
射能汚染も考えられますし、もっともっと身近に考えれば、住んでる住宅や高層マンションの火
災やガス漏れ事故で、人とどうぶつが安全な場所まで急いで逃げ出すことも、人災という名の
災害なのです。
「どうぶつ母子手帳・別冊 緊急時対策ブック」にもいざというときに備えることの大切さがうた
われています。
こうした、いつ襲いかかるかもしれない災害に備えるにはどうしたらいいのか。
そしてなぜ、備えることが必要なのか。
実際に今年発生した能登半島地震や新潟県中越沖地震の報告の中に、その答えがありま
す。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
能登半島地震の発災後2日目には、石川県獣医師会が「能登半島地震動物対策本部」を立
ち上げ、被災どうぶつと飼い主の救護活動を開始しました。
<参考>
石川県獣医師会ホームページ
http://www.ishikawa-vma.org/
獣医師がチームを組み、3月28日には避難所の巡回調査、
4月1日には被災どうぶつの無料巡回診療が行われました。
この無料巡回診療に訪れた猫のさんちゃんは人見知りが激しく、なついているおじいちゃんに
しか触らせない子でした。
地震後姿が見えなくなり、どうやら納屋の中にはいるらしいということは分かっていたのですが、
余震に怯え、呼んでも出てこなかったとのこと。
飲まず食わずで大丈夫かと心配していたところ、1週間目にヨロヨロと現れたその姿を見て、さ
んちゃんの家族は驚きました。
胸元から前脚の内側にかけ、広範囲の皮がはげ落ち、腐り始めていたのです。おそらく、地震
が起こった時に火傷を負ってしまったのでしょう。
さんちゃんの身体からは異臭が漂い、1週間ぶりの食事を与えても食べないほど衰弱していま
した。
さんちゃんの住む門前町にはどうぶつ病院が一軒しかなく、その病院も被災により診療ができ
ない状況でした。偶然、諸岡公民館に立ち寄ったおじいちゃんが無料巡回診療のことを知り、
座布団カバーに入れられたさんちゃんを連れて来たのです。
諸岡公民館担当の獣医師がさんちゃんを診察し、これはきちんとした設備での診療が必要と
の判断で、急遽穴水の診療所に搬送、その後、金沢市内の病院に移って手厚い看護を受け
た結果、さんちゃんは一命をとりとめ、無事おじいちゃんの待つ家に戻ったのでした。
このことから、飼い主が学ぶべきことはたくさんあります。
犬と違い、猫を一緒に連れて避難することの難しさ。
地震に怯えて隠れてしまった猫の居場所を見つけることの難しさ。
また診察の際も、リードで繋がれた犬と違い、屋外でキャリーバッグなどから出すことはできま
せんから、飼い主は何かしらの用意をしておく必要があります。
たとえば、一緒に避難するためには、飼い主が猫の隠れ場所を把握しておくことや、いざという
時にはそこを探せば、たいがいそこに隠れている、というような安心できる隠れ場所を用意し
ておくことも一案です。
安全な隠れ場所ができるよう、家具を固定し、生存空間※ができるようにしておくことは、どう
ぶつだけではなくそこに住む人の安全とも言えます。
また、どこを探しても見つからず、一緒に避難することが難しいのならば、人の生命に危険が
及ぶまで探しまわるのではなく、家に残すどうぶつが何日間か生き延びるだけの水や餌を用
意し、通電火災※を防ぐために必ずブレーカーを落としておくことで、いったん飼い主だけ避難
したとしても、再び迎えにいくまでの数日間をどうぶつが生き延びてくれる可能性につながりま
す。
また猫と一緒に非難するときは、目の粗い洗濯用のネットも持っていくと大変便利です。非難
する時はキャリーバッグに入れ、診療を受ける際に気をつけてこのネットに猫を入れ替えると、
屋外でも、体育館のような広い場所でも、スムーズに診療が受けられるます。
※生存空間の確保
建物や家具が倒れたときに、人とどうぶつが生き残れるような隙間ができるよう、
あらかじめ頑丈な家具を配置して固定し、寝場所やどうぶつのスペースを決めること
※通電火災
地震による停電や転倒で機能が停止した電気製品が、ライフラインの復旧による
通電で起動し、火災の原因となること
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

新潟県中越沖地震では、迷子のどうぶつが被災地で飼い主に巡り会うことの難しさを痛感しま
した。
地震による家屋の倒壊のため、友人宅に預けられた1頭のハスキーが脱走してしまい、預か
った方も飼い主も慌ててしまいました。当然、行政にも届けましたが、電話が通じない中、大勢
の人が入れ替わり交代で対応する混乱状態です。
それも、柏崎市の職員ではなく、他の市町村からの災害派遣の行政官だったり、他府県から
来た支援の行政官である場合もあるため、届け出が各関係部門に周知されることは、非常に
困難となります。
保護した行政側も、畜犬登録などの情報から飼い主に連絡したくても、自宅は倒壊して連絡不
可能、どこの避難所に避難しているかも分からず、通常だったらすぐに飼い主に連絡がとれる
ところが、このケースでは3日もかかってしまいました。
通信手段が途絶え、混乱する災害時には、こんなに時間がかかってしまうこともあります。しか
し飼い主明示さえしてあれば、時間がかかったとしても必ず再会できるでしょう。


「前回の新潟県中越大震災の経験から、家具を固定していたために今回の揺れでは助かっ
た」とおっしゃっていた方がいる反面、「前回の地震による被害がほとんど無かったために油断
していて、倒れて来た家具で怪我をした」という方もいらっしゃいました。
今回の地震でも家具の転倒で怪我をしたり、亡くなったりしたどうぶつの報告は少なくありませ
ん。とくに小型のどうぶつは、小さなテレビのようなものでも落ちてきて直撃すれば致命傷にな
ってしまいます。
飼っていたパピヨンが、倒れてたタンスの下敷きになって亡くなった、という女の子が「うちでは
必要なくなったから、被災どうぶつのために」とドックフードとペットシーツを対策本部に届けて
くれました。
まだ、悲しみを実感できていないような、呆然とした口調でしたが、「生き残ったどうぶつのため
に」と支援物資を届けてくれた優しい気持ちから、亡くなったパピヨンは大切に大切にかわいが
られていたのだろうな、と実感することができました。
だからこそ、防災を考えておく。
ただ、家具を固定しておくだけで、このパピヨンは今も元気で被災してしまった飼い主を励まし
ていたかもしれないのです。 かけがえのない家族の一員を守るために、できる準備をしておく。
これが飼い主にしかできない、大切な防災です。
現在、新潟県中越沖地震動物救済本部では、被災どうぶつに対して以下の支援を行っていま
す。
○どうぶつ飼育に関する相談受付 (平成19年8月29日午後5時現在)

○被災どうぶつの一時預かり頭数(平成19年8月29日午後5時現在)

猫の迷子が20件と特出しているのが、この数字からも分かります。
地震によって被害を受けられた皆様とどうぶつに心からお見舞い申し上げますと共に、一日も
早くこの災害が終息することを、祈念しつつ報告を終わらせていただきます。
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<参考>
新潟県 被災どうぶつ支援情報:
http://bosai.pref.niigata.jp/bosaiportal/0716jishin/
社団法人 日本愛玩動物協会/NPO法人アナイス
池 田 潤 子
投稿者 川上 奈緒 : 2007年09月14日 10:00
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