免疫力とアレルギー(2) 第1回
アレルギーの原因がないアレルギー反応!?
穴澤:今月の「元気丸で行こう!」のテーマは「免疫力とアレルギー(2)」です。前にも一度このテーマをやったんですけど、今回はもっと掘り下げようじゃないかというわけです。
藤田:はいはい。いくらでもかかってきなさい(笑)。
穴澤:まずやっぱり、これからの季節、花粉症に悩む人には憂うつな季節だと思うんですよ。
藤田:そうでしょうね。
穴澤:そこでなんですが、もし製薬会社が本気になれば、くしゃみや鼻水を抑えるのではなく、花粉症そのものを治す薬を作ることは可能なんでしょうか。
藤田:うーん、それは難しいかもしれないね。花粉症というのは免疫システムによる「抗原抗体反応」だから、それ自体を抑えるとなると免疫のバランスが崩れちゃうから。
穴澤:抗原抗体反応とは、花粉を敵だと思って攻撃しているということですよね。
藤田:そう、本当は攻撃なんてしなくていいんだけどね。だけど、何か異物が体内に入ってきたら攻撃するという働きそのものは、大切なわけですよ。それが細菌やウイルスや寄生虫に向けられていれば。
穴澤:なるほど。だから、抗原抗体反応を抑えるわけにはいかないということですね。
藤田:ただね、「免疫力とアレルギー 第1回」でも言いましたけど、花粉症などのアレルギー反応を抑える物質は特定できているんですよ。回虫が出したりする物質なんですけど、実際その物質を注射すると、花粉症の症状は治まるんです。治まるんだけど、今度はガンを抑える方の免役力が落ちてしまう。これは「免疫力とアレルギー 第4回」でお話しましたね。
穴澤:そうだった、そうだった。実際の回虫だと「Th1」は小さくならないのに、それから作った物質を服用すると、ダメだという話でしたね。
藤田:そう、それならBCGを打ったほうが早いっていう。
穴澤:この対談も担当してくれている『PAFE japon』の編集長がね、本気で悩んでいましたよ。BCG打とうかって(笑)。なんか、年中鼻水鼻づまりなんですって。おととし、急に始まったそうで。で、アレルゲンの検査や血液検査も受けたけど、全く異常はなかったそうです。アレルゲンのないアレルギー反応なんてあるんですか?
藤田:ありますよ。急に寒い場所に行ったりしたら鼻水が出たりするじゃないですか。あれもアレルギー反応といえばそうなんだけど、抗原抗体反応ではないんです。
穴澤:どういう意味ですか?
藤田:鼻の中の粘膜にある肥満細胞が破けて、ヒスタミンやセロトニンが出るというのは気温の変化も花粉症も同じわけですよ。花粉症のほうは、花粉に反応して破ける抗原抗体反応。でも、気温の変化のように、何もなくても肥満細胞が破けることはあるわけです。
穴澤:ほかには、どんな原因で?
藤田:入学や転職で急に環境が変わってストレスを感じたときなどに多いですね。こういうのは抗原抗体反応ではないから、免疫とは直接関係がないんだけど。寒い所に行くと蕁麻疹(じんましん)が出るという「寒冷地蕁麻疹」なんかも、同類のアレルギー反応です。
穴澤:なるほど。となると、風邪をひいて鼻水が出るのも同じなんですね。
藤田:そう。風邪の症状も一応アレルギー反応といえるけれど、これも抗原抗体反応で起こっているわけじゃない。免疫が関与しているかっていうと、関与していない場合も多いんですよ。肥満細胞が破れて、くしゃみや鼻水が出ることで、病原体を外へ追い出そうとしているんです。
穴澤:じゃあ別に、免疫力を上げたら肥満細胞が破れにくくなるかというと、そうでもないんですか?
藤田:うーん、わからない。
穴澤:わからないんですか(笑)。
藤田:はっきりとはわかっていないんだけど、寒冷地蕁麻疹なんかは免疫力とは直接関係なく起こってくるから。恋愛に失敗したりしたときとかにもね(笑)。
穴澤:ボクを見て言わないでくださいよ(笑)。失敗してませんから、別に。
藤田:そういう感情的なストレスがかかったときに、肥満細胞が破れやすくなるんでしょうね。あと、いろいろな公害物質とか。因果関係ははっきりしていないし、関係してないともいえないんだけれども、免疫システムとは直接関係しているわけじゃない。
穴澤:ところで、花粉症の薬にも「プラシーボ効果」*ってあるんでしょうか。
*プラシーボ効果:薬ではないものを薬だと信じ込むことで、何らかの改善がみられること。
藤田:少しはあるかもしれないね。ただ、それほど強くはない。
穴澤:そうなんですか。ボクはてっきり薬といえば半分くらいは「プラシーボ効果」なんじゃないかと思ってたんですが(笑)。
藤田:酔い止め薬なんかはそういう部分もなくはないけど、花粉症にはそれほど「プラシーボ効果」はないよ。これはもうはっきりとした抗原抗体反応だから。
穴澤:なるほど。ここで読者からの質問なんですが、最初はカモガヤだけだったのに、そのうちヒノキにも反応するようになり、やがてスギにもアレルギー反応を起こしてしまうようになった。なんとかこれ以上の悪化を防ぐ方法はないか、という内容なんですが。
藤田:この人のように、どんどん弱くなっていく傾向の人が多いでしょうね。こういう世の中ですから(笑)。
穴澤:それじゃ、答えになってないですよ(笑)。
藤田:うーん、でもこのストレス社会で、こんなに清潔志向の強い世の中じゃあ、免疫力が落ちるのも当然ですから。アレルギー体質になりやすい遺伝的要素というのもあるにはあるんですけど、やっぱり生活スタイルと食事のバランス、過労やストレスをなるべく避けることが大切でしょうね。
穴澤:犬も最近は花粉症になるって聞きますしね。
藤田:まったくね。なんせ40年前まで花粉症なんてなかったんだから。
穴澤:ということで(笑)、次回はアレルギー反応をボクらの体の中で起こしている物質について、詳しくお話を聞かせてください。

