食の安全 第3回
食品の賞味期限改ざん、ズバリ教授の見解は!
穴澤:昨年から、にわかに浮上してきた食品の賞味期限改ざんなんですが、教授はどう思われますか?
藤田:そもそも賞味期限なんて、なくていいと思うんですよ。私の意見としてはね。
穴澤:ないと怖いじゃないですか(笑)。
藤田:賞味期限って、実際に一般的に食品が傷む期間より、かなり短く設定してあるからね。
穴澤:それはまたなぜですか?
藤田:理由の1つは売るためですよ。賞味期限が短い方が売れるんです。期限内に早く食べなきゃと思うでしょう、また、賞味期限が切れると、それを捨ててまた新しく買うじゃない。すると、次にまた買うというように商品が効率的に回るんです。
穴澤:あれって、ちゃんと品質の変化を検査しているんじゃないですか?
藤田:メーカーは自分のところでやっていますよ、どれくらい腐らないかということを。でも、実際はそれよりもうんと短く賞味期限を設定しているんです。だから、返品で戻ってきたって、まだ全然大丈夫なことは知ってるんですよ。
穴澤:で、「張り替えちゃえ」ってなったんですかね。たしかに、不思議だなぁと思っていたのが、あれだけ賞味期限を改ざんしていても、今までだれひとり食中毒とかになってないところです(笑)。
藤田:そういうことです。「もったいない。まだ大丈夫だ」って、ついやってしまったんでしょうね。もちろん改ざんなんてしてない、ちゃんとした会社はあるんですけどね。それにしたって、賞味期限はかなり短く設定しているはずですよ。
穴澤:ぎりぎりでも怖いですけど、もうちょっと「ここぐらいまでなら大丈夫」という日数にすればと思いますけど。
藤田:そう。そういう消費期限*のような記載があれば、あとは賞味期限なんていらないと私は思いますよ。おいしいと感じるかどうかなんて、自分で決めりゃいいんだから(笑)。
*食品衛生法やJAS法での規定
・消費期限:劣化の早い食品についての品質の保証期限
・賞味期限:劣化の遅い食品についての品質や味・風味の保証期限
穴澤:コンビニとかでも夜中の0時になった瞬間に、お弁当をドカッと捨てたりしますもんね。まぁ、どこかで時間を切らないと仕方がないのはわかりますが。ボクら人間もどれだけ傷んでいるのか、食べたら危険なのかどうかという嗅覚(きゅうかく)が鈍っているんでしょうね。大丈夫かどうか自分でわかれば、賞味期限とかって本当は必要ないですもんね。
藤田:そうだね。食べもののありがたさという点でも、ほんとにもったいないことしてるよね。これだけ賞味期限を気にするのは日本人くらいですよ。富士丸が食べても大丈夫かどうか、かぎ分けてくれればいいのにね(笑)。
穴澤:アイツには無理ですよ、まだボクの方がしっかりしてると思います(笑)。
ペットフードも賞味期限が早めに設定されてるのかな。なんだか今回はいつになく“社会派”な内容になってしまいましたね。
藤田:それだけこの連載の幅が広いということですよ(笑)。
穴澤:まとまりがないともいいますけどね(笑)。ところで、寄生虫に感染する恐れがある食べ物といえば何でしょう?
藤田:突然きたね。キミの好きな分野が(笑)。
穴澤:鮎は横川吸虫(よこかわきゅうちゅう)でしたっけ?
藤田:それもあるけど、淡水魚にはだいたい寄生虫がいるからね。
穴澤:だけど、横川吸虫は感染しても、わりと無害なんでしょう?
藤田:横川吸虫はね。ただ、ドジョウにいる剛棘顎口虫(ごうきょくがっこうちゅう)は人に感染すると皮ふの下をはい回る。加熱すれば大丈夫だけど。
穴澤:雷魚も生で食べるのはよくないんですよね。
藤田:雷魚には有棘顎口虫(ゆうきょくがっこうちゅう)というのがいるからね。これに感染すると、コブが全身を移動しますね。ドジョウや雷魚に関わらず、淡水魚を生で食べるのはあまりよくないですよ。
穴澤:でも、海の魚にもアニサキスとかいますよね?
藤田:詳しいね(笑)。いますよ、いますけど、あれは内臓にいるから。だから、プロの料理人は手早く内臓を取っちゃうでしょう? そうすると、身の方にはないわけです。だけど、素人(しろうと)が自分で釣った魚の腹を割いて、調理の途中で放っておいたりするとね、アニサキスが身の方へ移動しちゃうんです。それを食べると、たまに感染しちゃうんです。
穴澤:アニサキスって、最終的にはどこへたどり着きたい寄生虫なんでしたっけ?
藤田:イルカや鯨といった海洋性のほ乳類に行きたいんです。最初はオキアミなんかの中にいて、それがアジやサバやタラやイカに食べられて、イルカとか鯨に食べられるのを待っているわけですよ。本当は人なんかに来たくないんです。だから、人に感染すると胃に頭を突っ込んだりして悪さする。
穴澤:寄生虫には珍しく、アニサキスって体内で動くと痛いんですってね。
藤田:痛いですけど、内視鏡で確認して取れば一発で治りますよ。それに1度や2度身体に入っても感染はしないんです。ただ、何度も入ってきていると、そのうち、かかっちゃう。
穴澤:なるほど。あと、最後に身近な食べもので、生で食べない方がいいものはありますか?
藤田:うーん、たとえば国産の豚肉は今はもう寄生虫はいないですね。ただ、どの種類の肉もこれだけ国内外からの流通が盛んだから、やはり生肉はプロが料理した生食用以外は加熱するのがいい*。あと、クマとかイノシシとか、野生で暮らしているどうぶつの肉を生で食べるのは避けた方がいいかもしれませんね。
*生肉から感染の可能性がある、おもな寄生虫:回虫、トキソプラズマ、エルシニア
穴澤:犬はどうなんでしょう。犬にも食べさせたら寄生虫に感染する恐れがあるものってあるんでしたっけ?
藤田:人間と同じで生肉は避けたほうがいいでしょう。また、野ネズミからのエキノコックス、カエルからのマンソン裂頭条虫症(れっとうじょうちゅう)の感染は注意が必要ですね。ただ、マンソン裂頭条虫症は人でいうサナダ虫と一緒ですから、特に害はないですよ。おしりからフンドシみたいなのが出ますけど(笑)。
穴澤:富士丸がおしりからフンドシみたいの出してたら嫌だなぁ(笑)。さて、次週で「食の安全」をまとめ切れるのか不安ですが、よろしくお願いします。
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