水とカラダのめぐり 第4回
今日から、肉料理を作るときは、カタい水を使おう
穴澤:前回、“体にいい水”は理由づけができるという話で終わりましたが、それはどんな理由なんですか?
藤田:私はネパールの高原に暮らすフンザ族や、南米の高原地域に住むビルカバンバの人々といった、いわゆる長寿の村の人が普段どんな水を飲んでいるのか調べてみたんですよ。そしたら、いずれもカルシウムや鉄、銅、フッ素などのミネラルが多く含まれる硬水だったんですよ。
穴澤:長寿の秘密は、ミネラル豊富な水だったわけですか?
藤田:もちろんそれだけじゃないと思いますけど、水が大きな要因であることは間違いないでしょうね。だって、私たちは水がないと生きていけませんから。
穴澤:ところで、硬水と軟水ってありますけど、水の「硬度」って、何で決まるんですか?
藤田:硬度は、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で決まるんですよ。数値で表す場合は、「カルシウム量(mg/L)×2.5+マグネシウム量(mg/L)×4」で計算します。一般的に、この数値が100mg/L*以上を「硬水」、それ未満を「軟水」というんです。
*硬度:WHO(世界保健機関)の基準では、120mg/Lを基準に軟水と硬水を分ける。
穴澤:さっき、長寿の村の人は硬水を飲んでいたといっていましたけど、硬水だとどうして体にいいんでしょう。
藤田:万人にいいかどうかは、ひとまずおいといて、ひとつはカルシウムを多く含んでいるからです。私たちの体内のカルシウムの99%は、骨と歯として存在しているんです。血液中にあるカルシウムが足りなくなってくると、身体がSOS信号を出して、骨や歯からカルシウムを溶け出させて補うわけです。
穴澤:だから、カルシウムが不足すると、骨が弱くなって骨折しやすくなるんですね。
藤田:そう。そして本来なら、そのSOS信号は血液中のカルシウム量が十分になれば止まるはずなんだけど、年をとると、これがうまく止まらなくなることがあるんですね。そうすると、必要以上のカルシウムが血液中に溶け出して、それが血管の壁に付着して動脈硬化や心筋梗塞(こうそく)、脳卒中なんかの原因になるわけです。
穴澤:普段からカルシウムを多く含んだ水を飲んでおけば、そのSOS信号がそもそも出ないというわけですね。じゃあ、別に水でなくてもカルシウム自体を多くとればいいんじゃないですか?
藤田:もちろんそれでもいいんですが、注意しないといけないのは、いくらカルシウムがいいからってカルシウムだけを過度に摂取していると大変なことになるんです。さっき話した、必要以上にカルシウムが血液中にある状態に近くなってしまいますからね。
穴澤:なるほど。
藤田:そのカルシウムの蓄積を阻止するのが、マグネシウムなんです。大切なのはカルシウムだけでなく、マグネシウムもバランスよく取り込むこと。そういう意味で、硬水はいいと、こういうわけです。
穴澤:じゃあ、軟水より硬水の方が優秀なんですね。
藤田:ただ、そうとばかりは言えないんです。要は、向き不向きがあるんですよ。日本では軟水がほとんどだから、昔から軟水に慣れ親しんできたし、軟水は和食を作るのにも適しているわけです。硬水で和食を作ってもおいしくないですよ。
穴澤:水が食文化に影響しているんですか?
藤田:もちろんしていますよ。食文化というのは、水とつながっていますからね。洋食は硬水で作った方がおいしい。場所によって、硬水に合った食文化、軟水に合った食文化というのができてきたわけです。軟水の食文化である和食なんかは、コレステロールとか中性脂肪が溜まりにくい料理だから、別に軟水を飲んでいてよかったわけです。一方、ヨーロッパなどでは肉を多くとるから、コレステロールとか中性脂肪が溜まりやすい。だから、硬水でそれを抑えるというように、うまく調和がとれていたんですよ。
穴澤:うまくできているんですね、食文化と水の関係って。
藤田:ところが、食のグローバル化なんていって、日本人も肉料理をたくさん食べるようになったでしょ。じゃあ、水もグローバル化しないといけないわけですよ。
穴澤:確かに……。そういえば、ボクは家ではアルカリイオン水を飲んでいるですけど、あれって、本当に体にいいんですか?
藤田:いいといわれていますね。カルシウムもたくさん入っているし、私たちの体液と同じ弱アルカリ性。内臓にも負担がかからず、胃腸にもいいんですよ。
穴澤:素朴な疑問として、水道水ってどうなんですか?
藤田:生きた水とはいえないですね。殺菌消毒する過程で塩素をたくさん入れているし。塩素がたくさん入っているから、酸性に偏るでしょ。だから、それに苛性(かせい)ソーダを入れて中和してるんです。苛性ソーダの水っていったら、つまりは石けんの水だから。
穴澤:富士丸にはずっと水道水を飲ませているんですけど、水道水以外で富士丸に合う水というのも考えたほうがいいんでしょうか。
藤田:体質にもよりますから、一概には言えないけれど、かかりつけのお医者さんと話してみるのはありかもしれないですね。でも実際、日本ではミネラルウォーターも殺菌処理や熱処理をして作っているから、天然の生きている水ではないけど。
穴澤:海外は違うんですか。
藤田:ヨーロッパでは、殺菌・熱処理した水はミネラルウォーターではないですよ。でも、その分、環境保全も徹底されています。ともかく、飲み水はすごく大切。あと、もちろん人間も、体にいい水というのは、人それぞれですからね。冷え性の人にいい水、高血圧の人にいい水、ダイエットしたい人にいい水など、それぞれなんです。
穴澤:いや、今回は水についての認識が少し変わりました。これからは富士丸の飲み水も、少し考えてみようかな。高くつきそうだけど。
藤田:健康で長生きしてくれたほうがいいですもんね。本当は一度、コレステロールと中性脂肪を測ってみるといいですよ。そこから、獣医さんと相談して、富士丸に合った水を選んであげれば。さっきも言ったけれど、体にいい水は、人も犬もそれぞれだからね。
穴澤:水については、また機会をつくって詳しくやりたいですね。ひとまず今回は、ありがとうございました!
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