におい 第2回
どうぶつがにおいを消すのは自分を隠すとき。ナルホド。
穴澤:さて、引き続き、においについてなんですが、「加齢臭」ってあるじゃないですか。あれは年とともに「ノネナール」という物質が出てくるんですよね?
藤田:正確には、ノネナールが直接出てくるわけじゃないんですよ。「パルミトオレイン酸」*と「過酸化皮質」*が、年齢とともに増えてくるんです。パルミトオレイン酸は過酸化皮質と結びついて酸化したり、皮膚常在菌で醗酵して、ノネナールに変化するんですよ。
*パルミトオレイン酸:汗腺のそばの皮脂腺から出る脂肪酸。
*過酸化脂質:余分な皮脂が、紫外線やストレス、加齢などで発生する活性酸素によって酸化したもの。
穴澤:加齢臭って、女性にもあるんですか?
藤田:ありますよ。「加齢臭」に男女の差はありません。成分的には「オジン臭」も「オバン臭」も同じものですよ。
穴澤:そうなんですね。ボク、オバサン臭いのって、化粧のにおいのイメージがあるんですけど。
藤田:それは単純に化粧が濃くなるからでしょうね(笑)。
穴澤:あ、そうか(笑)。あと、オジン臭には、酒やタバコや焼鳥屋のにおいなんかが、服に染み付いているのもあるんでしょうね。あー、こわい、こわい(笑)。
藤田:加齢臭は、若い女性にも、ご婦人方にも嫌われていますからねぇ。私なんかもドキドキですよ(笑)。
穴澤:ボク、36歳ですけど、結構心配ですよ(笑)。
藤田:実際にある症状で「自臭症」といってね、もしかしたら自分が臭いんじゃないかって病院に訪れたりする人が多いんですよ。実際調べてみても、ほとんどの人は何ともないんだけど、本人は臭いと思い込んで気にしてしまって、会社にも行けないとか、ひどい場合はノイローゼになるケースもあるんです。
穴澤:せつない話ですよね。
藤田:がんばって家族のために働いてきたのに、娘には「お父さん、臭い」とか言われてね(笑)。
穴澤:会社は会社で、OLに「臭い」と言われてね(笑)。
藤田:そういえばね。私が一緒に暮らしてた犬のコロちゃんは「臭い」といわれるのが一番嫌いだったんですよ。たまに口なんかが匂うでしょ。そのときに「臭いねー」っていうと、ものすごく機嫌が悪くなる(笑)。
穴澤:ちゃんとわかったんでしょうか!?
藤田:反応したのはホントです。コロはどうも自分のことを犬だと思ってなかったみたいでね。「臭い」といわれると、とても嫌そうな顔してましたよ。
穴澤:富士丸に「臭いねー」っていっても、あいつは平気ですけどね。
藤田:それは鈍感なんですよ(笑)。
穴澤:たしかに(笑)。
藤田:だけどね、加齢臭だって、本当はお父さんやお母さんに抱かれたときの「ホッとするにおい」だったはずなんですよ。こう、安心するというか。それが、今のようににおいを排除してきた結果、何だか悪いもののように言われるようになったんでしょうね。
穴澤:あぁ、そういわれれば、ボクの親父もたしかにオヤジ臭かったです。ほかにも汗のにおいとか。
藤田:そうでしょ? 私たちの時代は、男は汗臭い方がカッコよかったんです。それが今では、すっかり嫌われる時代になっちゃった。その背景には、日本の核家族化が進んで、周りに年配の人が少なくなったということもあるのかもしれないけど、それ以外の原因もあるように思うんですね。
穴澤:どんな原因ですか?
藤田:コマーシャリズムですよ。日本人には、におい消しの商品は売れる、というね。だから、トイレやキッチンの消臭、体臭や口臭消し……。そうやって、どんどんにおいを消していってると思うんです。
穴澤:たしかにそうですね。ある意味、とても気になる部分でもありますからね。
藤田:そうやって、コマーシャリズムに乗っかって、清潔志向と一緒にあらゆるにおいを消そうとしてるんですね。だけどね、においというのは個性でもありますからね。においを消そうとするのは、どうぶつの世界では自分を隠そうとするときだけですよ。
穴澤:そうですね。サバンナでもチーターは獲物の風下から近づいたりしますもんね。
藤田:それ以外は、どうぶつにとってにおいは自己主張のサインなんですよ。発情してるとか、ここはオレの縄張りだとか。
穴澤:そういえば、そうですよね。富士丸を見ていてもそう思いますよ。
藤田:それが今の人は、におい消しに必死でしょう? それって自分を見せたくないということだと思うんです。個々の主張をなくし、ひたすら同一化しようとする。仲間外れにならないように周りの目ばかり気にする。逆に、におうことがひどいいじめの理由になったりね。そういうのって、危険だなぁと思うんですよ。
穴澤:そうかもしれませんね。今は匿名の時代ですもんねぇ。
藤田:世の中がそういう流れになっていますよね。
穴澤:なんだかいつになく真面目な話になってしまいましたね。では、次回はにおいの役割なんかの話も聞かせてください。
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11月のテーマは「血液と血液型」。
『PAFE japon』no.7の第2特集で取り上げた「血液」。皆さんのどうぶつは、血液検査を受けたことがありますか。あるいは、血液検査を受けたほうがいいかなと思ったことはありますか。それは、どんなとき? 一方で、白血病やエイズなど血液に直接関わる病気も。
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