ウンチと微生物 第2回
ふたりの腸内細菌にしっかりエサをあげないとな。富士丸
穴澤:前回、人間の腸の中にはたくさんの腸内細菌がいるというお話でしたが、具体的にどんなのがいるんですか?
藤田:代表的なのが「乳酸菌」「ビフィズス菌」「大腸菌」「ウェルシュ菌」と呼ばれるものですね。
穴澤:その中で、いわゆる善玉菌ってどれなんですか?
藤田:乳酸菌とビフィズス菌が一般的に「善玉腸内細菌」といわれていますね。逆に大腸菌やウェルシュ菌などは「悪玉腸内細菌」といわれています。
穴澤:大腸菌って、なんかイメージ悪いですもんね(笑)。
藤田:でもね、悪玉菌だからって悪いことばっかりしているわけじゃないんですよ。大腸菌だって、外からやってきた悪い菌をやっつける働きがあるんです。
穴澤:でも「O-157」とか、怖いイメージあるじゃないですか。
藤田:O-157は、もの凄い怖い菌だと思っている人が多いかもしれませんが、ほんとは非常にヤワな菌なんですよ。本当なら、ほかのばい菌や大腸菌にすぐやられちゃうような菌なんです。でも、このところの清潔志向で、カラダの中にばい菌や大腸菌がいなくなちゃったもんだから、わーっと増えたわけです。
穴澤:清潔にしすぎたから、逆に弱くなったと。
藤田:実際、O-157に集団感染した小学校の子どもを調べてみたら、便の中にO-157が出ていても1回も下痢をしなかった生徒が約30%、ちょっと下痢をしただけの生徒が約60%、下痢を繰り返したのは、わずか10%の生徒だったんです。たぶん、その10%の子どもは大切に育てられたんだと思います。でも、清潔にしすぎたことで、他の大腸菌が少なく、O-157だけが増殖してしまったのでしょう。だから、悪玉菌というのも、ある程度あった方がいいんです。
穴澤:バランスが大切だということですか。
藤田:そう、バランスなんです。理想的なのが、ビフィズス菌40%、乳酸菌30%、大腸菌20%、ウェルシュ菌10%。これが一番いい腸内細菌のバランスだといわれています。
穴澤:でも、腸内細菌のバランスなんて自分ではわからないですよね。
藤田:それがわかるのが、ウンチなんですよ。
穴澤:なるほど! で、具体的にはどんなウンチだとどう、というのはあるんですか?
藤田:理想のウンチは前回話したように、黄褐色からこげ茶で、量もたっぷりバナナ三本分ぐらい、便切れがよく、水分が75%、堅さでいうとミソぐらい、臭いはかすか。これが腸内細菌のバランスがしっかり取れているときのウンチです。
穴澤:じゃあ、腸内細菌のバランスが悪いときは、どんなウンチなんですか?
藤田:まず、ウェルシュ菌や大腸菌が増えすぎると、臭くなります。色も茶褐色や暗褐色になります。食物繊維が取れていないから量も少ない。あとは、下痢だったり便秘のカチカチウンチだったりするのも腸内細菌のバランスが悪いからです。
穴澤:じゃあ、どうやって腸内細菌のバランスをとればいいんでしょう?
藤田:やっぱり一番は食事でしょうね。前にカップ麺や、ファーストフード、お菓子ばっかり食べている人の腸内細菌を調べたことがあるんですが、善玉菌も悪玉菌も含めて腸内細菌がほとんどいないっていう状態だったんですよ。
穴澤:腸内細菌そのものが少ないと、どうなるんですか?
藤田:免疫力が落ちます。あと、体力もなくなるし、イライラしがちになります。ウンチが作れないわけですから、ひどい便秘にもなります。
穴澤:食事って大切なんですねぇ。
藤田:食べるということは、早い話が腸内細菌にエサをあげるということなんですよ。腸内細菌のエサになるようなものを食べれば、腸内細菌は増えるんです。それがまた結構なスピードで増えるんですよ。
穴澤:どんなふうに増えるんですか?
藤田:例えば、オリゴ糖というのはビフィズス菌のエサになるんですが、オリゴ糖を飲んでもらって腸内細菌の変化を見ると、摂取前に17%前後だったビフィズス菌が1週間で38%、2週間後には46%にもなったという結果があるんです。
穴澤:結構一気に増えるもんなんですね。
藤田:でも、オリゴ糖の摂取をやめると、1週間でもとの状態に戻るんです。
穴澤:わりと熱しやすくて冷めやすいんですね、腸内細菌って(笑)。
藤田:だから今、腸内細菌のバランスが悪い状態でもすぐによくもなるし、すぐに悪くもなるということなんです。大切なのは腸内細菌に、いいエサをあげ続けるということですね。
穴澤:オリゴ糖って何に含まれているんですか?
藤田:大豆やごぼう、タマネギなんかに多く含まれていますね。ただ近ごろはオリゴ糖そのものも出てますよ。そうやって腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維などをとって腸内細菌のバランスをとるのが「プレバイオテクス」、ヨーグルトや乳酸菌飲料やみそや大豆などで生きた善玉菌をとって腸内バランスを整えるのを「プロバイオテクス」といいます。
穴澤:そういえば、富士丸にもプレーンヨーグルトをよく食べさせるんですが、それっていいんでしょうかね?
藤田:犬は人間と違ってもともとが肉食だから、ちょっと腸内細菌のバランスが違うんじゃないでしょうか。決して悪くはないでしょうけれど、量は気をつけて、かかりつけの先生にも相談してみては。
穴澤:富士丸の大好物なんですよね、ヨーグルト(笑)。じゃあ人間だと、腸内バランスを整えるのに、どんな食べ物がいいんでしょう。
藤田:さっき言ったオリゴ糖を多く含む食材や、食物繊維が多い、野菜、いも類、マメ類、穀類、キノコ類、海草類、ナッツ類、果物なんかをバランスよく食べるのがいいでしょうね。
穴澤:やはり、バランスなんですね。
藤田:ただ近ごろの人ってね、いいか悪いか、白か黒かってハッキリしちゃうでしょう。テレビでかぼちゃがいいっていえば、朝から晩までカボチャ食べたり。いくらいいものでもね、そればっかり食べてたらカラダがおかしくなりますよ(笑)。
穴澤:確かにそうですよね(笑)。
藤田:それに免疫力を上げるためには、さっき言った食事がいいんだけど、それ以外にもホルモンもつくらなきゃならないし、ビタミンだって必要だし、ひとつの面だけ見て、いいか悪いかなんか言えないわけですよ。
穴澤:でも、いいか悪いかっていってもらった方が楽ですもんね。いう方も楽だし。
藤田:何事もほどほどというのが、とても大切なことなんです。
穴澤:僕、何事もわりとテキトーに考えてますけどね(笑)。
藤田:テキトーもどうかと思うけど、それぐらいの方がいいかもしれないね(笑)。大切なのは、食事は腸内細菌にエサをあげているんだということですね。エサをあげないと腸内細菌は増えないから。増えないと免疫力も低下すると、そういうわけです。
穴澤:では、次回は腸そのものについて、もうちょっとお話を聞かせてください。
『PAFE japon』関連号:
『PAFE japon』no.5(1月1日発行号)
「第2特集●2007年開運&快ウン特集 ウンチでわが子の健康チェック」から「どうぶつのよいウンチと悪いウンチの見分け方」をご紹介>>>
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