ズーノーシス第3回
富士丸、寄生虫は宿主を大事にするそうだ。お前も……
穴澤:では、どうぶつからうつる怖~い病気の話ですけど。
藤田:そうですね。まずは「オウム病」が挙げられますね。
穴澤:オウム病って、どんな感染経路で、どんな症状なんですか?
藤田:感染源は鳥類全般。病原体はオウム病クラミジアです。鳥にいるときにはほとんど無症状なのですが、感染した鳥のフンなどを人が吸い込むことで人にも感染します。症状はインフルエンザに似ているんですが、インフルエンザの治療で使用する通常の抗生物質は効果がないため、症状が悪化して呼吸困難、重傷肺炎、髄膜炎などになり、死亡することもあります。
穴澤:ほとんどの鳥類にいるって怖いですね。
藤田:感染を防ぐには、鳥と暮らしている人なら、口移しでごはんをあげないことや、鳥カゴを掃除した後の手洗いが大切です。また、万が一、感染しても、オウム病を理解して適切な治療を受ければ完治するので、極端に怖がることもないでしょう。
穴澤:では次に、「エキノコックス症」とはどんな病気でしょう?
藤田:これは簡単にいうと、キタキツネにいるサナダ虫。それが犬にも寄生している例が出てきたんです。エキノコックスはキタキツネや犬の体内にいるうちは無害なんですが、それが人に入ると怖いんです。感染経路は感染したキツネが卵を含んだウンチをして、それを野ねずみが食べて、それを犬やキツネが食べるという流れ。人には、その卵を含んだウンチを触ったときにたまたま口から入ってしまったり、キツネの生息地で排泄物や卵を含んだ水を飲んでしまったりすることで感染する。症状は初期は無症状ですが、10年以上経過してから肝腫大で死に至ることもあります。
(注)肝腫大=肝臓が正常な範囲を超えて拡大する病気。
穴澤:犬やキツネには無害なんですよね?
藤田:そう。寄生虫で1つはっきりしているのは、自分の望んだ宿主は大切にするということ。でないと、自分も生き延びられないですからね。でも、それが違う生物の体に入ったときは悪さをするということなんです。
穴澤:居心地が悪いんでしょうね(笑)。
藤田:そこのところ、狂犬病っていうウイルスはタチが悪くてね、犬も人も死なせちゃう。
穴澤:感染した場合の死亡率って100%でしたっけ?
藤田:そう、確実に人も犬も死ぬんです。でも、発症する前にワクチンを打てば助かります。
穴澤:日本では撲滅したんですよね? それでもワクチンを打ち続けるのは?
藤田:だって、何があるかわからないでしょう? 世界では狂犬病がない国の方が少ないんです。お隣の中国なんて、感染病死亡率の1位が狂犬病なんですよ? 飛行機で2時間いったところでそうなんだから、いつ再上陸したっておかしくないじゃない。ほかにも狂犬病が蔓延している国はたくさんある。日本はせっかく撲滅したんだから、しっかり守ることが大切ですよ。
穴澤:海外に行って、日本の感覚で犬を触るのがちょっと怖くなりました(笑)。
藤田:触っても噛まれなければいいんだけどね。でも、そこはわからないから、安易に、はやめたほうがいい。
穴澤:ボクね、ちょっと疑問がわいたんですよ。
藤田:何?
穴澤:狂犬病にかかった犬って、凶暴になって、やたら噛むっていうじゃないですか。人に感染した場合だって、ある段階で暴れ出して人をひっかいたりするっていうし。でも、別に感染した犬がおとなしく死んでもいいじゃないですか。
藤田:凶暴になるのは、神経に行ってしまうため。ウイルスも生きものだから、どうやって子孫を残そうかって考えたら、狂わせて、次にまた感染してということを考えているんでしょうね。
穴澤:なるほど。でも、ウイルスみたいな小さいのが、犬や人の動きまで左右するってホントすごいですよね。寄生虫だってそう。犬回虫でしたっけ? 人間の子供に間違って入っちゃったときには、泥や砂を食べたがる症状が出ることがあるそうですよね?
藤田:「異味症」ですね。イヌ・ネコ回虫に子どもが感染した場合、ほぼ100%の子が起こす不思議な症状です。
穴澤:それって、イヌ回虫の仕業でしょう?
藤田:確かなことは言えませんが、やっぱり仲間を呼び寄せてるんでしょうね。泥や砂の中にある卵を体内に入れたいがために「泥、食え」ってやってるんでしょうね。
穴澤:それをどうやって命令してるんでしょうね、やつらは(笑)。
藤田:寄生虫はね、穴澤くんも知ってのとおりね(笑)、ものすごいことをやってるからね。アリから羊へ行きたい寄生虫はアリをコントロールして、羊が好きそうな草のてっぺんでずっと待たせたりするしね。
穴澤:カタツムリから鳥に行きたい寄生虫は、カタツムリの目をものすごい目立つカラーリングで、うにょうにょ動かしたりしますしね(笑)。
藤田:すごいことやってるよね、寄生虫って。
穴澤:不思議ですよねぇ~。
藤田:おもしろいよねぇ~。
穴澤:すっかり脱線しましたね(笑)。
藤田:しちゃったね(笑)。
穴澤:なんでしたっけ(笑)?
藤田:そう。狂犬病ワクチンはやっておきましょうね、ということですよ。備えあれば、憂いなし、です。
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