ズーノーシス第2回
匂いが好きで、富士丸の毛に顔をうずめたりするんですけど。
穴澤:では、前回に続き、「ズーノーシス」についての第2回目です。まずね、ボクは富士丸とチューはしないんですよ。男同士だから(笑)。それって正解なんでしょうか。
藤田:んー、正解かどうかっていうと、まぁ、正解ですね。でも、ワタシは「絶対に犬とチューしちゃダメだ」とも思わないんですよ。
穴澤:へぇ。でも、人でも何でも「口の中が一番細菌が多い」というじゃないですか。
藤田:そう、細菌のレベルで「キレイか汚いか」というと、口の中が一番汚い。で、出した瞬間の尿はほぼ無菌なのでキレイということになりますね。
穴澤:ですよね。それに虫歯菌も親からうつる場合がほとんどだと思ってたんですが、人の虫歯菌は犬にはうつらないんですか?
藤田:虫歯菌はどうぶつみんな違いますから、まずうつりませんよ。
穴澤:そうなんですね。ボクがチューしないから、富士丸の歯はキレイだと思ってたのに(笑)。
藤田:たとえば、パスツレラ菌というのがあって、それは猫の口の中には100%いるんです。犬でも50~60%はいるんです。だから単純にチューするとその菌が入ってくる。ただ、それは犬や猫にとっては普通の菌で、口の中を守っている菌なんです。人が健康体ならそれが入っても何ともない。でも、人が弱っていて免疫力が落ちているときだと、感染することもあるんですね。
穴澤:パスツレラ症というやつですね。
藤田:それほど怖くはないし、健康ならまずかからない病気なので、そういうことを知っておいた上で、体調の悪いときにはチューはしない方がいいんじゃないでしょうか。
穴澤:あと、ボクは「犬の匂い」が好きなので、たまに富士丸の毛に顔をうずめたりするんですけど、そういうのは大丈夫でしょうか。
藤田:問題ないでしょう。犬にノミがいたらうつることはあるでしょうけど。それだって、健康な人なら、ちょっとかゆくなる程度です。
穴澤:一応、ノミやダニを寄せ付けない薬を富士丸にあげてるんですけど、そもそもノミってどこにいて、どういう経路で犬にうつるんですか?
藤田:今、日本にいるノミはネコノミばっかりなんですよ。昔はね、人には人ノミ、犬には犬ノミというのがいたんだけれど、今はなぜだかネコノミばっかりになっちゃった。それがね、人にも犬にもうつるようになったんですよ。
穴澤:じゃあ、野良猫と接触すると……。
藤田:あとは草むら。猫から落ちたノミが草の上なんかで待ちかまえているわけですよ。で、犬や人がそこへ入ると飛び移るんですね。
穴澤:あいつら、草の上でも生きられるんですね(笑)。
藤田:そう、ある程度は生きられる。畳の中なんかだと、もっと生きられる!
穴澤:ボクね、猫も大好きだから、よく公園で野良猫をなでたりするんですけど、その手で富士丸にさわるとノミがうつるんですかね?
藤田:なでたぐらいじゃうつらないでしょうね。それが衣服についたら、うつるかもしれませんが。
穴澤:そういう意味では、やっぱりノミがつかない薬は犬にあげておいた方がいいんですね。
藤田:そうですね。それにノミが媒介する「猫ひっかき病」なんかもあるし。「猫ひっかき病」というのは猫に噛まれたときやひっかかれた場合がほとんどなんですけど、犬からも10%ぐらいの割合で感染することがあるんです。傷口が膿んだりするので、猫や犬が悪いように思われがちですけど、あれはそこにくっついているノミの中に細菌が濃縮されているからなんです。ただ、それも人が健康体だと何ともありません。
穴澤:あとは、フィラリア予防薬。富士丸は錠剤をボリボリ食べる変わったヤツなんですけどね。これもあげといた方がいいんですよね。
藤田:そうですね。やっぱり長生きさせてあげたいですものね。
穴澤:フィラリアにかかると、最終的に死んじゃうんですよね?
藤田:フィラリアはイヌ糸状虫(しじょうちゅう)といって、蚊を媒介して最終的に犬に寄生する虫なんですよ。それが肺に移動するんだけど、数が多くなると血管を詰まらせちゃうんです。
穴澤:別に犬の体内で増殖するわけじゃないんですよね?
藤田:そうです。犬が蚊に刺される度に、体内にフィラリアの幼虫が入り、成長した親虫がミクロフィラリアという仔虫を血液中に生産するんです。そして、それをほかの蚊が吸い込んで、またほかの犬へというサイクルです。結果的に1頭の中の数が多くなると、血管を詰まらせる。
穴澤:フィラリアって、いったん犬に棲(す)み着いちゃうと駆除が難しいんですよね?
藤田:そう、だから予防薬は大切なんですよ。あと、まれにフィラリアが人にも感染したという例はありますし。
穴澤:清潔にしておくのはいいことだと思いますが、お風呂はどうなんでしょう。ボクはあまり頻繁に入れるのも逆によくないか、と月に1回ぐらいにしてるんですが。
藤田:洗いすぎるとやっぱり油なんかがとれて免疫力が落ちてしまい、アトピーなどになりやすいでしょうね。ただ、子犬のときは成犬にはいない犬回虫を持っている可能性があるんですよ。
穴澤:生後6カ月ぐらいまででしたっけ?
藤田:よく知ってるね(笑)。だから、子犬の体には犬回虫の卵がついていたりする可能性があるんです。それが人の口に入ったりすると「イヌ回虫症」になったりもするから、お風呂で洗ってあげるのはいいですね。あとは検査をして、子犬に虫がいるようなら駆除してあげた方がいい。
穴澤:つまり、ズーノーシスもしっかり知識をもって予防しておけば、防げるということなんですね。そうしていれば、スキンシップをとったって平気だと。
藤田:もうね、好きになったら仕方ないですよ。むしろ、そうなるのが普通だと思うんです。
穴澤:あははは(笑)。教授だってそうだったんですね。
藤田:やっぱりかわいいからね(笑)。
穴澤:では、次回はもうちょっと怖い話でもしてみますか。

