ズーノーシス第1回
「ズーノーシス」って、ボクと富士丸にも関係あります?
穴澤:いやー、いよいよ始まりましたね。
藤田:始まりましたね。
穴澤:ボクね、ずっと昔から教授のファンだったから、こうして対談できて、とても嬉しいんですよ。
藤田:ワタシのファンっていう人はね、だいたい変な人ばっかりなんですよ(笑)。だって出してる本だって「うんち」とか「寄生虫」の話がほとんどなんだから。
穴澤:確かに(笑)。でも、ボクのブログ「富士丸な日々」で教授のこと書いたら、「私もファンです!」ってコメントがたくさんありましたよ。
藤田:それはほら、類は友を呼ぶっていうでしょ(笑)。
穴澤:なるほど(笑)。でも、おかげでこうして教授と対談させてもらって感激ですよ。この連載は、ペット保険アニコムのグループ会社アニコム パフェのサイトで連載するんですけど、毎回、人とどうぶつの健康について、教授にいろいろお話をうかがおう!という企画なんです。で、今月のテーマが「ズーノーシス」。
藤田:「人畜共通感染症」のことですね。
穴澤:そうです。いきなり難しいテーマだなと思うんですが、ボクも富士丸という犬と暮らしていて興味があります。教授はズーノーシスについての著書も出されてますね。「ズーノーシス」って言葉を聞いたことはあるという人もいると思うんですが、簡単に説明するとどういうことなんでしょう。
藤田:簡単に言うと、「どうぶつと人の間でうつる病気」ということですね。
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ただね、こういうと誤解されやすいんですよ。
穴澤:というのは?
藤田:ズーノーシスが問題になって来たのって、15、6年ぐらい前からなんですよ。その頃から、どうぶつと暮らしている人の中で、長い間診断がつかない症状がいっぱい出てきた。調べてみても理由がわからない。その当時、人間の医者もズーノーシスなんてだれも知らない。でも、どうやらどうぶつが関係しているかもしれないということで、ワタシも研究を始めたわけです。けれど、その伝え方が難しい。
穴澤:たとえば?
藤田:こんなことがあったんです。10年ぐらい前にズーノーシスについてテレビでしゃべってくれという依頼が来たんです。そこでワタシは「オウム病」や「エキノコックス」、「犬回虫症」などについての話をしたんです。そしたら「こういう怖い病気がある」という部分だけが放送されてしまいましてね、放送後、ものすごい抗議がありましたよ。
穴澤:恐怖心をあおっているだけだというような?
藤田:そうなんです。ある方からのお便りには「教授はどうぶつがお嫌いなんですね? だから、家庭どうぶつのことを悪く言うんですね。そうやって危機感をあおると、怖くなってどうぶつを捨てる人が出てくることを少しは考えてください」というのもありました。そんなつもりで言ってはいないですし、第一、ワタシは犬も猫も大好きですからね。
穴澤:そうですよね。教授もコロちゃんという犬と暮らされてましたし、寄生虫まで「キヨミちゃん」という名前つけて自分のお腹で飼ってましたもんね(笑)。
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藤田:ほかにも、ある著名な作家さんからお手紙をいただいて「犬や猫はもう長い間人間と共に暮らしている。そこに感染する病気なんかがあれば、とっくに社会問題になっているはずだ。あなたのしていることは誇張だ」と言われたりしました。
穴澤:確かに、犬や猫は古くから人間の伴侶として一緒に暮らしていますよね。
藤田:でもね、昔と今では暮らし方が変わってきたんです。昔は犬なんかは外でつないでいて、家には上げないというのが普通でしたけど、ここ10年のペットブームで室内飼いは当たり前、一緒の布団で眠る、とういうようなスタイルになってきた。それは明らかに昔とは違う点なんですよ。
穴澤:確かにそうですね。
藤田:もう家庭どうぶつが子どもと変わらない存在になってきた。穴澤くんみたいに、狭いマンションで一緒に暮らしたりしてね。
藤田:犬がいればもう恋人なんかいらない、っていう人もいるし(笑)。
穴澤:そんなこと、ひと言も言ってませんけどね!
藤田:そういう生活の中で、次第にどうぶつと人の間でうつる病気があることがわかり始めたんですよ。でも、よく「それはあなたの猫から来てますね」と言うと、「うちの子が原因なわけないでしょ! このヤブ医者!」と言われちゃう(笑)。
穴澤:でも、昔に比べたら今はもうちょっと認識されてきたんじゃないですかね? アニコム パフェが発行してる『PAFE japon』の4月号でもズーノーシスの特集があったんですが、ズーノーシスのアンケートを実施したところ、2日で700件の熱い回答が返ってきて、改めて皆さんの関心が高いことがわかったと編集者が言ってましたよ。
藤田:10年前に比べたら、ずいぶんマシになったとは思いますよ。それにね、ワタシは危険だ危険だと叫んでいるわけではないんです。どうぶつからうつる病気で致死率が高いのは「狂犬病」「オウム病」「エキノコックス」の3つです。ほかはね、人の免疫力が下がっているときに特に注意したい、いわゆる「日和見(ひよりみ)感染」なんです。
穴澤:なるほど、まずは自分の健康管理をしっかりということですか。
藤田:それに、ズーノーシスの危険性を知らないのと知っているのでは全然違う。知識があれば防げるんです。つまり、「知るワクチン」ですね。ワタシはそうすることで、どうぶつも人もお互いに幸せになれるとお伝えしたいんです。
穴澤:今回の連載もそういう趣旨ですからね。では、次回はそれを踏まえた上で、さらに踏み込んだ具体的な話をしましょうか。

