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がんのしくみとがん医療 第3回
小さいがん細胞が、なぜ生死を左右する?
穴澤:以前聞いた話で、悪性の、増殖力の強いがん細胞を培養液の中で育てたら、いつまでも増え続ける、つまり死なないというのがあったんですが、それは本当なんですか?
藤田:そうですよ。増え続けますね。
穴澤:普通の細胞であれば、「テロメア*」があるからある程度分裂を繰り返すと、そこで分裂が終わるじゃないですか。がん細胞にテロメアはないんですか?
*テロメア:染色体の末端部にある構造。先端部を保護し、細胞分裂での染色体の正常な分配に不可欠。細胞分裂のたびに少しずつ短くなり、なくなると細胞は分裂しなくなる。短くなることが老化に関係する。
藤田:ないんだよね。テロメアがないのが、がん細胞。だから、どんどん増え続ける。
穴澤:だったら、がん細胞は一応不死身といえますよね。老化とか寿命ってテロメアが握っている部分があると思うんですけど、がん細胞の生命力の謎を解明できれば、不老不死の薬ができそうな気もするんですけど、どうなんでしょう?
藤田:そんなに長生きしたい(笑)?
穴澤:いやいや、そういう意味じゃなくて(笑)。それに不老不死とはいかなくても、アンチエイジング的なことができるんじゃないかと思うんですけど。
藤田:みんなそこを狙ってるんだけど、うまくいってないんだよね。だれでもね、そう考えるんだよ(笑)。
穴澤:そうなんだ。これは画期的だと思ったんですけど(笑)。あと、テロメアつながりで、もうひとつ疑問が。クローン技術ってあるでしょ? 羊のドリーとか。
藤田:はいはい。
穴澤:あれって、ある程度成長した羊の細胞からクローンを作ったじゃないですか。言い換えると、ある程度テロメアが短くなった細胞ということじゃないですか。そこからできたクローン羊の赤ちゃんの寿命って、どうなんでしょうね?
藤田:普通に考えると、ものすごく短命かもしれないよね。ただ、最近ではクローニングでテロメアが長くなったなんて話もあるし、まだよくわからないよね。
穴澤:いけないいけない。また脱線してしまった(笑)。えーと、がんでしたよね。そういえば、腫瘍(しゅよう)っていっても身体全体の割合からしたら小さなものじゃないですか。それなのに、なぜ死ぬんですか?
藤田:正常な臓器の機能を停止させるからですよ。肺だって、肝臓だって、膵臓(すいぞう)だって、正常に機能していないと生きていけないんです。
穴澤:痛いがんと、あんまり痛くないがんがあるのはなぜですか?
藤田:それは神経を刺激するようながんは痛いし、神経を麻痺(まひ)させるようながんは痛くないということですね。
穴澤:何がんが一番痛いんですか?
藤田:うーん、一概にはいえない。同じ肺がんでも、腫瘍のできる場所によって違うから。
穴澤:一般的に若い人の方が、がんの進行が早いというのはなぜですか?
藤田:若い人は細胞分裂の速度も速いから、がん細胞も同じように増えていくということですね。年取ってくると細胞分裂の速度が遅いから、がん細胞の増え方も遅くなる。
穴澤:それはやっぱり犬の場合も同じなんですよね?
藤田:犬も同じ。細胞のターンオーバーが早いのが若さということだから。
穴澤:よく「がんが転移した」とかいうじゃないですか。あれはどういう経路で転移するんですか?
藤田:一番多いのはリンパの流れだね。だから1カ所がんが見つかったら、その周辺のリンパ節を調べるんです。たとえば、乳がんが見つかったとき、ここにはこっちに流れるリンパがあるから、まずはそこのリンパ節を調べるということがある。そういうのを「所属リンパ節」というんです。
穴澤:なるほど。胃にがんが見つかったら次はどこを疑え、みたいな流れがちゃんとあるんですね。
藤田:そう。で、所属リンパ節を調べてがん細胞が見つからなければ、まず転移はしてないだろうとなるわけです。
穴澤:がん細胞ってね、不死身かもしれないけど、増殖すれば結局宿主(?)を死なせて自分も死ぬことになるじゃないですか。結局何がしたいんでしょうね(笑)。
藤田:がん細胞も困ってると思うよ。暴走なんてしたくないのに、自分では止められないし、だれも止めてくれない。がん細胞だって別に増えたくなんてないんじゃない? だって自分も死んじゃうんだもん。きっと「もう嫌だー! だれか止めてくれー!」とか思ってるよ(笑)。
穴澤:そうですかね(笑)。だけどがん細胞は寄生虫やウイルスと違って、共生への道はないですからね。もともと自分の細胞だし。
藤田:でも、がん細胞はもう別の生き物なんですよ。別の生き物として認識しているからNK(ナチュラルキラー)細胞が攻撃するんです。
穴澤:なるほど。元は同じ仲間だったのに、自分で願ってそうなったわけでもないのに攻撃されて、何だか切ない話ですよね(笑)。
藤田:別に切なくはないけどね、がんだから(笑)。
穴澤:ところで最近は、がん検査も進歩して血液検査でほとんどわかるんですよね?
藤田:ある程度はわかりますよ。血液中にこういう物質があったら、あそこに腫瘍があるかもしれない、というような物質が特定できていますから。
穴澤:そういう物質を「腫瘍マーカー」というんでしたっけ。
藤田:そう。で、腫瘍マーカーが見つかったら、じゃあ正確にどこにがんがあるのかを「MRI」なんかで検査するんですよ。
穴澤:あの人間の身体を輪切りにして見られる機械ですよね。
藤田:そうそう。だからね、穴澤くんも今度検査を受けるように。注射が怖いなんていってないで。私が血をとってあげるから(笑)。
穴澤:怖いなんていってませんよ。ちょっと怖いけど(笑)。では、次回はがん治療についてお話を聞かせてください。
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━━━━━━ 「元気丸で行こう!」から大切なお知らせ ━━━━━━
★ 連載対談「元気丸で行こう!」の第1シーズンが、今月で終了
★ 4月1日 特別企画「元気丸が行く!」が再び登場!
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【お知らせ その1】
昨年7月に開始したこの連載対談「元気丸で行こう!」の第1シーズンが、
今月で終了となります。
しばし休止期間を置いて、初夏には第2シーズンがスタート!
その間、藤田センセと父ちゃんの「特別対談」や某計画も進行中。
詳細は、追ってメルマガやサイトでご案内していきます!
第1シーズンの最終回もお楽しみに~。
【お知らせ その2】
『PAFE japon』no.10が、4月1日発行になります。
大好評だったno.9(1月1日発行)の「元気丸が行く! 緑と温泉を楽しむ
早春の伊豆旅」に引き続き、no.10でも、特別企画を掲載。もちろん、ウェブにも
「思い出アルバム」が登場します! 今回、富士丸と父ちゃんは、だれとどこへ
向かったのか!?

